サンクコスト効果の対策法【「元を取りたい心理」が損の原因】

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ギャンブルやホスト、恋愛などでも活用されることの多いサンクコスト効果。マーケティング的に見れば購買を促進する便利なものですが、消費者目線では決してよい心理効果と言える面ばかりではありません。

そこで今回は、サンクコスト効果の対策法について解説します。元を取ろうとしてかえって損をしたことがあるという方は、このサンクコスト効果が原因かもしれません。ぜひ今回の内容を参考に、対策してみてください。

サンクコスト効果は「損をしたくない」心理のこと

サンクコスト効果とは、過去に費やした取り戻せないコスト(サンクコスト)を取り戻そうとしたことにより、合理的な意思決定ができなくなる心理効果のことです。

例を挙げると、次のような心理がサンクコスト効果にあたります。

  • 「せっかく買ったのに着ないなんてもったいない」
  • 「食べ放題なんだから元を取らなきゃもったいない」
  • 「巨額を投じた事業を諦めるのはもったいない」

さらにかみ砕いて言うならば、サンクコスト効果とは元を取ろうとする精神そのもののこと。

なおサンクコスト効果は経済学の用語で、同様の心理現象を、行動経済学ではコンコルド効果と呼びます。

サンクコスト効果は過去に執着するものです。未来のことに対して「必要以上に使うのはもったいない」などと考えるのはサンクコスト効果とは少し違います。

サンクコスト効果の事例

サンクコスト効果は「損をしたくない」「元を取りたい」という精神から起こるのですが、結果的にはサンクコストを気にすることにより余計な損をしてしまいます。

具体的にどういう状況で起こるのかを知ることも対策に繋がりますので、以下事例を見てみましょう。

事例①:株式投資の塩漬け

ひとつめは株式投資における「塩漬け」です。

塩漬けとは、購入した株の値が予想より下がってしまったのに、売るに売れず保有し続けること

投資家の心理として、「待っていれば値が上がるかもしれないのに今売るのはもったいない」という感覚になってしまうのがサンクコスト効果です。

この「もったいない」という感覚の中には、入念な下調べにかかった時間や、勉強のための書籍購入代など、すでに支払ってしまったコストに対する執着が潜んでいます。

しかし実際には、マイナスを拡大させないために一旦売るのが合理的な判断です。

事例②:映画館で観るつまらない映画

2つ目は映画館での事例です。

映画館で映画を見始めたものの、あまりおもしろくありませんでした。

でも、「せっかくチケット代を払ったのだから」と見続けてしまう行為がサンクコスト効果によるものです。

実際には、おもしろくない映画を見続けることによって「時間の損失」が拡大するリスクが高いので、「おもしろくない」と感じた時点で見ることをやめるのが合理的でしょう。

この事例は投資マンガ「インベスターZ」でも紹介されていましたね。投資の資質があるかどうかを、「つまらない映画に対していかに早く見切りをつけることができるか」で測っていました。

事例③:服を買い換えられない・捨てられない

3つ目は、購入した洋服に関する事例です。

買ってみたけれどあまり似合わない洋服や、思ったより気に入らなかった洋服を、「せっかく買ったから」と着続ける行為もサンクコスト効果が影響しています。

かかった費用や、買い物のために費やした時間などのサンクコストを惜しんだ結果、満足のいかない服によって日ごろのモチベーションを低下させてしまっている可能性が高いです。

断捨離が難しいのも、サンクコスト効果が働いているせいと考えられそうですね。

サンクコスト効果が原因で「挑戦できなくなる」のが一番怖い

ここで改めてサンクコスト効果の何が問題なのかについてまとめます。

サンクコスト効果とはすなわち、「すでに支払ったコストが気になっちゃう心理」のこと。

そしてサンクコスト効果が怖いのは、直感的に賢そうだと思う選択ほど、実は損に繋がっているという点です。

さらに厄介なのが、その損をきちんと認識することがそもそも難しいという点。

そのため「サンクコスト効果によって正しい選択ができた」と誤解して、次もサンクコストを気にし続けます。

実際、さきほど紹介した事例でも、「損をしたくないから」と現状維持を選んだことのある方は多いのではないでしょうか。

サンクコスト効果の対策法

ここからはいよいよ、サンクコスト効果を対策するための方法を解説していきます。

すでに支払ったコストを「認識しない」

もっともシンプルなサンクコスト効果の対策法は、ずばり「すでに支払ったコストに執着しないこと」です。

そしてすでに支払ったコストに執着しないためにもっとも簡単な対策は、「サンクコストを認識しないこと」です。

使ったお金は正確にしたほうがよい、という考え方が一般的かもしれませんが、サンクコスト効果について考えるうえではそうとも言えません。

なぜなら、そもそもサンクコストを認識していなければ、「これだけ費やしたのだから元を取ろう」という発想自体生まれないからです。

というわけで、なんとしてもサンクコスト効果を防ぎたいという場合には、「すでに支払ったコスト」を正確に計算しようとするのをやめるとよいでしょう。

コスト全体を細分化して「正確に認識する」

今度は、さきほどの「サンクコストを認識しない」とは真逆のアプローチです。

どんなに認識しないようにしても、私たちはどうしても「これ1000円で買ったんだよなぁ……」と無意識に考えてしまいます。

そこで、認識しない対策ができない場合の次善の策として考えられるのが、「コストを正確に認識する」という対策です。

すごく当たり前の話ですね。しかしすごく当たり前のことこそ、きちんとできている人は少なかったりします。

具体的には、正確に認識するためにコストを細分化するんです。

例えば商品を購入したサンクコストに目を向けるなら、その購入代金だけでなく、その手前で悩んだ時間やリサーチにかけた労力などもすべてサンクコストとして含めて考えましょう。

すると、3万円で衝動買いした冬物のコートよりも、3日間悩んで購入した本1冊のほうが、実はサンクコストは高いかもしれません。

このことに気が付くと、「即断即決が実はサンクコストを下げることに繋がる」ということが分かります。

私たちはサンクコストを気にするあまり、買う前から「失敗したらどうしよう」と悩んでしまいがちですが、その悩んでいる時間こそがもっとも大きなサンクコストになりがちなんですね。

当初の目的に目を向けて「失敗を失敗と認める」

3つ目の対策は、もともとの目的に目を向けて失敗は失敗と認めるというものです。

例えば服を買って失敗したけれどもったいないからまだ着ようかな、と考えたときは、そもそもその服を買った目的を考え直してみましょう。

お気に入りの靴に合わせる服がほしかったとか、着回せる1枚がほしかったとか、何かしら狙いがあったはずです。

そして、その目的を果たすことができなかったから「失敗した」と感じたのではないでしょうか。

サンクコスト効果によって選択を捻じ曲げる心理は、「失敗を失敗と認めていない」だけです。

失敗を活かして次に成功するためにも、失敗は失敗ときちんと認めるようにしましょう。

サンクコスト効果の上手な使い方

ここまで「サンクコスト効果はよくないもの」として解説してきましたが、うまい付き合い方もあります。

それは、人間は元を取ろうとするものだから、あえて先にコストをかけてしまうというものです。

例えば、いまどきは無料で提供されている情報もかなり質が向上しているので、わざわざ書籍などを購入しなくともある程度の情報を手に入れることができます。

しかし、本格的に勉強したいときはあえてコストをかけることで、サンクコスト効果を意図的に起こして自分に発破をかけるという使い方もできるのです。

私たちはタダで取得したものよりも、コストをかけて取得したものに愛着を抱きます。本質を理解すれば、有効活用することも可能ですよ。

まとめ

ついつい元を取ろうとしてしまったり、コストパフォーマンスのよさに惹かれて商品を選んでしまったりといった心理に関わる、サンクコスト効果について解説しました。

最後に触れた通り、サンクコスト効果自体は理解して扱えばよい方向に作用させることもできます。ただ、マーケティング的に使いやすい心理効果でもあるため、多くの商品やサービスが購入を誘導する目的で使用していることも事実です。

サンクコスト効果に踊らされず、ぜひ自分の意志で選択ができるよう努めましょう。

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