オウンドメディアの目的・メリット・デメリットを事例を踏まえて解説

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「自社でメディアを立ち上げよう!」となったはいいものの、そもそもオウンドメディアって何のこと……?と迷われている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、オウンドメディアの目的・メリット・デメリットといった基礎知識について、なるべく専門用語を使わずに、かつ分かりやすく事例を踏まえて解説します。

オウンドメディアの立ち上げを任されたけど何から始めていいかよくわからないという方は、ぜひ参考にしてください。

オウンドメディアの定義

オウンドメディアとは、企業が所有し、企業独自の情報を発信するメディアのことを言います。

ただし、「メディア」と言ってもいわゆるテレビや新聞、ニュースサイトなどが取り扱うような記事情報だけを扱うわけではありません。

たとえばオウンドメディアでは、メーカーの発表する最新モデルに関する情報や、そこに採用されている最新技術情報、関わった開発者インタビューなどもコンテンツとして成立します。

社内情報を発信して雰囲気を伝えることで、顧客だけでなく就職を検討する人へリーチして、採用力アップに繋げることを目的としたオウンドメディアも多く見られます。

オウンドメディアの事例:クラシコム

今回はオウンドメディアの成功事例として、クラシコムさんの運営する「北欧、暮らしの道具店」を挙げてみましょう。

北欧、暮らしの道具店(クラシコム)

自社で販売する北欧家具の製品情報を、北欧家具を好きなユーザーに向けて紹介することで、認知拡大とファンの獲得、売り上げアップを見事に実現しています。

代表の青木さんがイベントに登壇された際に話していた内容によると、「ここまで世界観を作り上げると、同じ価値観を持った人が集まるので採用にもプラスに働く」とのこと。

2年前のイベント当時で、全体の売り上げのおよそ4分の1がオウンドメディアから発生していたそうです。

自社ECを持っている時点で、そのまま参考にできる企業は限られると思いますが、オウンドメディアをうまく運用することができればこういった可能性もある、という事例として非常に勇気づけられるケースではないでしょうか。

オウンドメディアの目的

オウンドメディアの目的は、自社製品の認知拡大とファンの維持・獲得です。

さらに噛み砕くならば、顕在顧客へアピールするとともに、潜在顧客へリーチすることで、顧客数や購入頻度を増やそうとする試みと言えるでしょう。

「北欧、暮らしの道具店」の場合、次のような情報を届けることで、顧客数や購入頻度の増加に繋げていると考えられます。

  • 「北欧雑貨・北欧家具」について知りたい層へ基礎知識を提供
  • 「北欧雑貨・北欧家具」の世界観を取り入れたい層へレイアウト例を提供
  • 「北欧雑貨・北欧家具」を購入したい層へ通販情報を提供
  • 「北欧雑貨・北欧家具」とあわせて取り入れられるアイテム情報を提供

ひらたく言えば売り上げの増加が目的ではあるのですが、あくまでも「ユーザーが知りたい情報を届けることによって価値を生んでいる」点は念頭に置いておいたほうがよいでしょう。

オウンドメディアが届ける情報の形

オウンドメディアでは、制作したコンテンツを何らかの方法で周知し、認知を拡大します。

初期段階では、SEOやSNSによってユーザーへリーチするのが一般的です。

そのため、オウンドメディアと端的に言った場合、近年はSEOコンテンツやSNSユーザーへ訴求するコンテンツのことを指す場合が多いです。

しかし、本来オウンドメディアに含むコンテンツ形式にはさまざまなものがあります。

  • 企業の専門性を活かしたTipsコンテンツ(製薬会社が「薬の飲み方」記事を作る、など)
  • 社員インタビュー
  • 社内イベントレポート
  • SNSでの企業アカウント運用(Instagram・Twitter・Facebookなど)

「北欧、暮らしの道具店」の場合、「企業の専門性を活かしたTipsコンテンツ」がそのままユーザーの求めているコンテンツになっており、かつ販売チャネルに直結しているという点が非常にユニークです。

なおSNS運用に関してはオウンドメディアと対比してアーンドメディアと呼ぶ場合もありますが、これは2010年当時に注目されたトリプルメディアという考え方に則ったもので、現在ではあまり区別する必要はないでしょう。

オウンドメディアのメリット

オウンドメディアを運用するメリットは、次の4つです。

  1. 広告に依存する必要がなくなる
  2. 自社で培ったノウハウに価値が生まれる
  3. アーカイブとして機能する
  4. 同じ価値観を持った人が集まる

順に見ていきましょう。

広告に依存する必要がなくなる

オウンドメディアによって集客が可能になると、従来のメディアに出稿していた広告が不要になります。

正しくオウンドメディアを運用すると、SEO評価やブランド価値が高まり、検索順位上昇やSNSシェアの頻度上昇などによって自然と露出が高まるのです。

クラシコムさんの例で言えば、「おしゃれなレイアウトの参考にしたい読者」が集まる場を作ることによって、「おしゃれなレイアウトをみんなに見せたい層」の社員としての獲得にも繋がり、そこからさらにSNSでシェアされることで同じ価値観を持った人へリーチする、という連鎖が起きています。

自社で培ったノウハウに価値が生まれる

これまで社内でのみ共有していた情報や、あるいは社内では当たり前のこととして特に注目しなかった情報が、実はその業界内特有の知見だったということは珍しくありません。

そうした企業独自の情報は専門性が高く、特にSEOの面で評価されやすいのも特徴です。

クラシコムの代表青木さんも、先述したイベントで採用現場について語られていました。自分たちにとってはただの社内研修資料でも、他社から見れば非常に参考になるというケースは少なくありません。

アーカイブとして機能する

従来のPRでは、出稿したメディアが掲載を取りやめる可能性があったり、またメディアそのものがなくなってしまうケースもあったりと、広告そのものの広告効果を担保することができませんでした。

さらに近年は、ユーザーのネットリテラシー向上に伴ってPR表記を忌避する傾向も強まっています。

こうした潮流の中で、オウンドメディアのコンテンツは長い未来にわたってアーカイブとして機能するため、非常に高い広告効果が期待できるのです。

「北欧、暮らしの道具店」の場合も同様で、コンテンツは新商品情報ばかりではありませんし、中には季節が来れば再燃し、毎年一定の広告効果を生むキーワードなどもあるでしょう。

同じ価値観を持った人が集まる

オウンドメディアが作り込まれていればいるほど、メディアを一見したときに「好きかどうか」を判断することができるようになります。

この点、北欧さんは特に顕著で、「こういう物に囲まれて暮らしたいかどうか」「こういう暮らしをしたいかどうか」という問いを無意識のうちに投げかけられます。

この精度が高まれば高まるほど、認知を拡大するチャネルの選定がしやすくなり、広告を打つ際の費用対効果が高まることになります。

価値観や世界観の共有は、ファン獲得だけでなく採用にも有利に働くでしょう。

オウンドメディアのデメリット

一方で、オウンドメディアには次のようなデメリットもあります。

  1. 専門的なスキルが必要
  2. メンテナンスが必要
  3. 即効性に欠ける
  4. 広告よりもコストがかかる

専門的なスキルが必要

オウンドメディアを成功に導くためには、最低限の専門的なスキルが必要になります。

専門的なスキルとは、つまるところメディアを運用するためのあらゆる知識全般です。

文章を書くコピーライティング力、顧客向けの設計する編集力、SEOで正しく評価されるためのSEO対策、SNSでバズを起こすためのコンテンツ力など。

こうしたスキルを自社で補うのが難しいため、多くの企業がオウンドメディア運用を外注に回しています。

ただその際に気を付けていただきたいのは、これらのスキルは「企業のオウンドメディア運用ポリシーがあってこそ」だという点です。

「オウンドメディアでやりたいことは特にないけど、集客になるなら」という形で丸投げすると、そのメディアはなかなか育ちません。企業の独自性や信頼性に欠けたコンテンツになってしまうからです。

半端な知識・スキルでコンテンツを制作したり、あるいは情報や理念が欠けたままのコンテンツを量産しても、求めたような効果は得られません。

定期的なメンテナンスが必要

オウンドメディアは、いわばもうひとつの社屋です。そのため、作って終わりではなく定期的なメンテナンスが必須です。

ユーザーは、オウンドメディアを見て企業をイメージします。

何も考えないままコンテンツを量産し、トップページがPR情報などでごちゃごちゃとしていると、一見してだらしない企業という印象を抱きます。

その状態のオウンドメディアを放置することは、かえって信頼性を損ねることに繋がりかねません。

オウンドメディアを始める際は、初期費用ではなくランニングコストから見積もることをおすすめします。

即効性に欠ける

オウンドメディアを始めることに二の足を踏む方の多くが、「いつ効果がでるか分からない」点を気にされるのではないでしょうか。

オウンドメディアは、集客をSEOやSNSに依存しているので、従来の広告に比べて「いつどこの誰にどれだけ露出するか」が明確ではありません。

突然バズることもあれば、反対にGoogleのアルゴリズム変動によって突然検索順位が下がることもあります。

オウンドメディアで期待に沿う結果を出すためには、少なくとも検索エンジンに評価されるまでの半年は見込まなければいけません。一度や二度の取り組みで結果がでるものではありませんので注意してください。

広告費よりもコストがかかる

一番の難点は、「これまで広告によって得ていた集客と同等の広告効果を狙うなら、おそらく広告費以上にコストがかかる」という点です。

これは企業の業種や状況、オウンドメディアを誰に任せるか、どこまで本気で運用するか、SNSアカウントなどと連携できるか、あらゆる要素が関わってくるので一概には言えません。

ただ、「オウンドメディアをやると集客に繋がるらしい」程度の認識で始めると、ほぼ間違いなく期待外れに終わります。

オウンドメディアは企業のブランディングとセットと言える施策ですので、「どんなブランド(企業理念)なのか?」がはっきりしないまま取り組めば、ただただコストを垂れ流すだけです。

くれぐれも、広告よりもコスパがいい集客方法としてオウンドメディアに手を出さないよう注意してください。

まとめ

今回は、クラシコムさんの「北欧、暮らしの道具店」の事例を参考に、オウンドメディアに関する基礎知識を解説しました。

オウンドメディアは、従来のような広告に頼らない集客モデルとして注目されがちですが、その運用には相応のコストがかかります。

お手軽な集客方法としてオウンドメディアの運用を考えている場合は、どの程度のランニングコストでどの程度の集客を期待しているのかしっかりとまとめ、運用代行会社などときちんと相談することをおすすめします。

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