視野が狭いと、自分が損をするだけでなく誰かを傷つけてしまうこともあります。思考停止せず、どうすればあらゆる可能性に想像を行き渡らせることができるのでしょうか。
今回は、視野の狭さを直したいという人に向けて、視野を広げる方法を解説します。わたし自身が、妻をはじめとする身近な人たちの考えに、どうすれば思い至るのかと悩んだ末に辿り着いた方法です。
考えが行き届かないせいで誰かを傷つけたくない、迷惑をかけたくないとお考えの方はぜひ参考にしてください。
まずは視野について認識すること

視野を広げるためには、まず視野という言葉や概念についてきちんと知る必要があります。
大前提として、「こうすれば手軽に視野が広がる!」といった万能な方法は存在しないと考えましょう。
手軽に視野を広げることができるのなら、わたしたちは視野の狭さで悩むことはないはずだからです。
少し長くなりますが、視野を広げるために少しお付き合いください。
視野とは|関連する言葉との関係性について
それでは早速、「視野」とはいったい何なのかを考えていきましょう。
視野を正しく理解するために、まずは視野とそれにまつわるいくつかの言葉との関係性を、それぞれイラストを用いて簡単に解説していきます。
視野と視界の違い
まずは「視野」と「視界」というよく似た言葉の違いからです。

- 視野……目を動かさずに見ることのできる範囲
- 視界……目を動かして見渡すことのできる範囲
ここで言う「目」とは、考え方や物事の見方のことだと考えてください。
視野が狭い状態は、顕微鏡や望遠鏡などをのぞき込んでいるイメージです。常識や価値観などにとらわれて、思考が制限されてしまっています。
どんなに周囲の視界が開けていても、視野が狭い(のぞいているスコープが狭い)状態ではさまざまな可能性に想像が及びません。
反対に、どんなに視野が広くても視界が狭い状況(=知識や情報が与えられない閉塞的な状況)では考えを巡らせる余地がないという点も注意しておきたいですね。
視野が狭い状況は思い描けても、視界が狭い状況は想像できていない人が多いので要注意。あなたが「視野が狭い」と悩む状況は、ひょっとすると「視界が狭い」だけかもしれません。

視界が狭いときには、視座を変えてみることが有効です。視座については後述しますので、ぜひあわせてチェックしてください。
視野と視線・視力・視点の関係性
続いて、視野と「視力・視線・視点」の関係性についてです。

- 視野……視線が向く先で視力が届く範囲
- 視力……対象を認識できる距離
- 視線……目で見る方向
- 視点……視線がそそがれる点。観点とも
視野は、視線(方角)と視力(距離)によって決まります。
視線が合っていても視力が弱ければ視野は狭くなってしまいますし、どんなに視力がよくても視線(視点)が見当違いでは意味がありません。
自分は1m先まで見れているのか?100m先まで見れているのか?また、今どこに視線をそそいでいるのか?
視力と視線という2つの観点を持つことで、視野に対して立体的な捉え方ができるようになります。
視野と視座の関係性
次は、視野と混同されがちな視座という言葉についてです。

- 視座……物事を認識する時の立場、座標
特にビジネスシーンなどで「視座が高い」というと、なんとなく考えが優れているような印象を受けます。
しかし実際には、視座が高いか低いかというのは立場によるので、高ければよいというものではありません。
また、視座は座標そのもののことなので、高さだけで判断しないように注意。
たとえば、富士山を下から見上げた景色と頂上から見下ろした景色が違うように、静岡県側から見た景色と山梨県側から見た景色も全く異なります。
上司と部下が視座の違いで対立しやすいからといって、同僚なら視座が同じというわけでもないのです。

視座が変われば視界が変わります。仮に視野が狭かったとしても、視座を柔軟に切り替えることができれば視界を確保することはできるのです。
視野を広げる3つの方法
視野についてなんとなく分かってきたでしょうか。
ここからは、具体的に視野を広げる方法について考えていきます。視野を広げる方法は、大きく分けて3つです。
- 視力を鍛える=思考力を鍛える
- 視線を変える=今まで見たことのない方角を見る
- 視座を変える=異なる立場の人と話す
それぞれ見ていきましょう。
視力を鍛える=思考力を鍛える

視野は、視力(距離)×視線(方角)によって決まるので、視力を鍛えれば見ることのできる範囲が広がります。
ここで言う視力とは、ずばり深く考える力のこと。そして深く考える力を身につけるために必要なのが哲学です。
哲学は、人類が論理によってあらゆる事象に答えを与えてきた学問であり、ロジカルシンキングを学ぶのにもってこいと言えます。
一から哲学を学びたい方におすすめなのが、初心者にも分かりやすい哲学書として定評のある飲茶さんの著書です。
いきなり本を読むのはハードルが高い、という方には、飲茶さんがブログで解説している哲学史がおすすめ。
これだけで本格的な哲学が学べるわけではありませんが、入門としては最適です。わたしも、飲茶さんのブログを通して哲学に興味を持ちました。
視線を変える=今まで見たことのない方角を見る

視野は視力×視線によって決まるので、今度は視線を変えてみましょう。視線を変えれば、見える景色ががらっと変わりますよ。
視線を変えるためには、今まで見たことのない方角を見る必要があります。
具体的にどうするかというと、たとえば次の通り。
- 普段行かない場所へ行く
- 普段食べないものを食べる
- 普段頼まない料理を注文する
- 普段読まない本を読む
- 普段見ない映画を観る
見たことのない方角=未知を恐れて新しいことに挑戦しないでいると、どんどん視野は狭くなっていきます。
「いつもの習慣」を少しずらして、視野を広げていきましょう。
視座を変える=異なる立場の人と話す

視野そのものが狭かったとしても、視座を柔軟に切り替えることができれば、それは視野が広いのと同じこと。
視座を切り替えるために必要なのは、いろいろな視座の人と話すことです。
視座の違いを想像力で補うのには限界がありますので、とにかく話し相手を増やすというのが大切。
なお、SNSで他者の意見に触れたり、本を読んで他者の経験を追体験することでも視座を切り替えられる可能性はあります。
しかしその方法で視座を切り替えるのには、かなりよい目が必要です。
確実に視座を切り替えたいなら、きちんと人と話すことをおすすめします。
まとめ
視野とは何なのか、そして視野を広げるためには哲学・挑戦・他者との対話が必要ということについて解説しました。
視野が広がると、これまで思い至らなかったことに気が付けるようになります。
視野の狭さが原因で損をしたくない、誰かに迷惑をかけたくないという方は、ぜひ試してみてくださいね。
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