『いい子をやめれば幸せになれる』を読んでうつを乗り越えた【レビュー】

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「自分のことが好きになれない」と悩んでいる方におすすめしたい本が、『いい子をやめれば幸せになれる』です。

本書は、精神科専門医のほか精神医学やコーチングの講師として活躍されている山下悠毅さんによって書かれた、いわば「自己肯定感の教科書」とも言える一冊。

今回は、どん底の自己肯定感を持っていた筆者が、この本を読んで生きやすくなった体験談を通して、自己肯定感を上げるための考え方・生き方をお伝えします。自分を好きになれないとお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

「いい子をやめれば幸せになれる」を読んで幸せになれた

私は、どん底の自己肯定感を引きずりながらもがき苦しんでいた時期に、『良い子をやめれば幸せになれる』に出会いました。


いい子をやめれば幸せになれる

本書を読み、自己肯定感が低い自分がどのように出来上がったのかを冷静に理解することができ、誰かにとっての“良い子”をやめて、自分の人生を歩む一歩を踏み出すことができたのです。

自己肯定感の低さから、思考や感情が周りの人や出来事に振り回されて、精神的に疲れ切ってしまっている人も多いのではないのでしょうか。

こういった状態から抜け出すためには、自己肯定感を高める小手先のテクニックでは到底足りません。

小手先のテクニックは根本的な解決には繋がらないため、一時的に改善したと思っても、結局同じことを繰り返してしまうのです。

自己肯定感の低さを根本から解決するためには、

  • 自己肯定感が欠如する要因
  • 今の自分の状態(物事の捉え方や思考)
  • 自己肯定感が高いとはどういう状態か
  • 自分の人生を生きるとはどういうことか

これらを正しく理解することが必要です。

そこでこの記事では、『いい子をやめれば幸せになれる』を通して私が学び吸収したことをご紹介します。

「いい子をやめれば幸せになれる」を読んで学んだこと

それではここからは、本書を読んで学んだことを抜粋してご紹介していきます。

自己肯定感が欠如する要因は「親からの条件付きの愛」

自己肯定感が低い人は、親からの「条件付きの愛」で育てられた傾向が極めて高く、親の顔色を伺って生きてきました。

そのまま大人になり「自分は相手の期待に応えなければ愛されない」「ありのままの自分では受け入れてもらえない」という信念に基づいて行動しているのです。

信念を書き換えるにあたり、確認しておきたいポイントが以下の2点です。

  1. 子どもを愛していない親はいない
  2. 「条件付きの愛」を与えてしまう親の自己肯定感もまた不足している

2つ目のポイントについて、「条件付きの愛」で子どもを育てた親もまた、「どうせ自分なんて」「自分は何をやってもダメ」という気持ちに苦しんでいたと著者である山下さんは言います。

「条件付きの愛」は、「〜だから好き」「〜であるなら好き」という愛であるのに対し、無償の愛は「〜だけど好き」という愛と言い換えることができます。

  • 条件付きの愛:「~だから好き」愛するのに条件が要る
  • 無償の愛:「~だけど好き」愛するのに条件が要らない

そして「自分のコンプレックスを自分の子どもが満たしてくれたら、自分のことも好きになれる」という思いから、子どもをコントロールしたい願望が生まれ、「条件付きの愛」で育ててしまった可能性が高いとのこと。

「条件付きの愛」で自分を育てた親もまた「条件付きの愛」で育てられ、その親も……と続いていくと、誰が悪いという話ではなく、誰も悪くないということになります。

私は当初、自分の自己肯定感の低さの原因が親からの「条件付きの愛」であると知ったとき、「親のせいで私の人生はめちゃくちゃだ」と親に恨みや憎しみを抱きました。

しかし、この2つ目のポイントを理解したことで、親の自己肯定感について考えるようになり、また「親のせいで私は幸せになれない」という信念を強めてしまうところだったと気がつくことができました。

今の自分は「信念」に基づいて行動している

「赤信号になれば車が止まるから安全に横断歩道を渡れる」「スターバックスに行けばいつでも美味しいラテが飲める」

このように、人の行動の背景には何かしらの信じているもの=「信念」が存在しています。

まずはそういった信念を持っているということを認識することが大切。

そしてその信念を、「自分が幸せになるための信念」「生きやすくするための信念」に書き換える必要があります。

本書では、信念を書き換えるために、以下の心理学者ウィリアム・ジェームスの考えを用いています。

心が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば人生が変わる。

心理学者ウィリアム・ジェームス

つまり、行動の裏側にある心(信念)を書き換えることで行動を変え、人格を変え、その結果が人生を幸せなものにしてくれるのです。

本書で紹介されている信念を書き換えるための5つのステップは、このサイクルを意識して作られています。(本記事ではステップ1~3の内容を抜粋してご紹介しています)

「マスト思考」から「ウォント思考」へ変換する

うつで落ち込んでいた当時、自己肯定感を高めるために「自分のしたいことはなんだろう」と考えても、頭が真っ白になるばかりで何も思いつきませんでした。

「早く元気になりたい」という気持ちすら、「元気な状態の方が家族や友人が喜ぶから」「早く治して社会復帰しないと生きる価値がないと思われるから」という他者を優先する思考から生まれたものだったのです。

結局すぐには「自分がしたいこと」がわからなかったので、まず「自分がしたくないこと」を避ける努力をしました。

自分がしたくないこともはっきりとはわからなかったのですが、かろうじて心に違和感のようなものを感じたので、それを感知して手繰り寄せるようにしていました。

自分の人生を生きるために「自分の人生は自分で創り上げることができる」「自分の人生は過去からも、そして他人からも干渉されることはない」という信念を獲得する必要があります。

まず、マスト思考に支配されている行動を、ウォント思考に基づく行動に変換します。

マスト思考とは、「やるからには1番になるべき」「真面目ないい子でいるべき」といった「〜べき」という絶対的なルールに縛られている思考のこと。

ウォント思考とは、名前の通り「自分のしたいこと」で作られた思考です。

ウォント思考に切り替えなくてはいけないと分かっていても、自己肯定感が低い人にとってはとてもむずかしいことです。

なぜなら、これまで「どうやったら親や先生に褒められるか」を気にして生きてきたため、自分のしたいことがわからないからです。

これまで持っていた「ありのままの自分では愛されない」という信念が、「本当にやりたいこと」から遠ざけてきました。

自己肯定感を高めて自分の人生を生きるためには、これまで「絶対に守らなければならない」と思っていた価値観を壊す必要があります。これこそが、第一歩です。

自分の人生を生きるために、自分の感情や行動に責任を持つ

自分の人生を生きるためには、自分の感情や行動に責任を持たなければいけません。

「responsibility(責任)」という言葉を辞書で引くと、「response(反応)」+「ability(能力)」とあります。つまり、責任とは「自分の反応を制御する能力のこと」であり、責任を持つとは「自分の反応をコントロールする」ことでもあるのです。

ところが自己肯定感が低いと、他人の表情や行動に一喜一憂してしまいます。

例えば、会社で後輩に挨拶をして返事が返ってこなかった場合、「無視された」「生意気」「なめているのか」と怒ったり、「何か嫌われるようなことしたかな…」と強い不安に襲われることも。

これは「後輩なんだから挨拶は返すべき」というマスト思考が潜んでいる可能性があります。そもそも挨拶するもしないも、自分次第のはず。であれば、先述したようにウォント思考に変換すれば良いのです。

  • 返事があろうがなかろうが、自分が挨拶したいからした
  • 返事がないと苦しくなるのではれば、挨拶はしない
  • 返事がなければ催促してみる

このように、自分の反応を自分の意思や行動によってコントロールすることができます。

逆に、「他人から返事があれば幸せ、なければ不幸せ」といったように、自分の幸せを他人に依存している限り、自分の人生に責任を持つことはできません

私は自己肯定感が低いとき、他人から嫌われることを恐れ、人の顔色を伺って生きていました。

人の表情が曇れば「嫌われることをしたかな」と不安になり、言葉が尖っていれば「怒らせるようなことをしたかな」とビクビク。一方、周りの人が機嫌が良いとテンションが上がり、心が満たされていました。

この本を読んで以降、「相手がどんな反応であろうと『自分がしたいからした』と言い切れることだけをしよう」と心に決めて行動しています。

慣れるまではとても苦労しましたが、時間が経つにつれて神経を張り詰める対象や時間が格段に減ったため心の負荷が減り、生きやすくなりました。

「メメント・モリ」の力を利用したエクササイズ

自分がしたいことがわからない人に対して、自分の奥底に眠る願望を知るために、メメント・モリの力を利用したエクササイズが紹介されています。

「メメント・モリ」はラテン語で「死を想え」、つまり「必ず訪れる死から目を逸してはいけない」という意味の格言です。人は死をきちんと意識することで、はじめて生について深く考えることができるのです。

もしあなたが重篤の病気にかかり、医師から「余命はあと30日です」と宣告されたとします。その時、あなたは何を思い、何を行い、何を止め、誰のために何を残しますか?

目を閉じて考えてみてください。

「自分の死」について具体的に想像することで、惰性で取り組んでいたこと、といった先延ばしにしていたこと、そして心の奥底に眠るやりたいことに気がつくことができるのです。

例えば、惰性で取り組んでいたことは「楽しくない仕事」、先延ばしにしていたことは「大切な人に感謝の気持ちを伝える」、自分のやりたいことは「世界を巡って美しい景色を目に焼き付けたい」といったことが挙げられます。

「そんなことできない」「お金がない」と理由を考える前に、まずは調べてみましょう。例えば世界を巡る旅に出たい願望の場合は、行きたい国と見たい景色のピックアップ、予算はどれくらい必要なのか、何を揃えれば良いのか、などと調べてみます。

このエクササイズを実践すれば、上記のように自分のしたいことを見つけ、動き出すことができるのです。

自分磨きは条件付きの愛に繋がってしまうので注意

さらに自己肯定感を高めるためには、具体的にどうすればいいのか?

本書に出会うまで、「自分を愛するために長所を見つけましょう」「自分を磨きましょう」という言葉をよく見かけました。

しかしこれらは、「条件付きの愛」で自分を好きになろうとしているため、自己肯定感を育むことはできません

自己肯定感を育むどころか、こういった努力を重ねるうちに「やっぱりありのままの自分で愛されないんだ」と負の自己洗脳に繋がってしまいます。

自己肯定感を育むために自分を磨くのではいけないのです。

似たもの同士で付き合い自分自身を不幸にする恋愛にも注意

本書では、自己肯定感が低く自分が好きになれない女性は往々にして浮気性や、時間やお金にルーズな人に惹かれてしまう、としています。

なぜ自分を不幸をもたらすような男性にばかり惹かれ、自分を幸せにしてくれるような男性には魅力を感じないのかと言うと、それは「類似性の要因」が影響しています。

「類似性の要因」とは、「人は自分の意見や価値観と似ている人を好きになる」という心の動きのこと。

例えば、地元や趣味が同じだと親近感を湧くと、「私とあの人は似ている」→「あの人は私のことを理解してくれる」→「あの人ともっと一緒にいたい」となるのです。

「類似性の要因」は会話など言葉で理解することもあれば、「レストランやコンビニでの店員さんへの態度」など相手の行動や雰囲気で把握することもあります。

自己肯定感の不足から「自分を大切に扱えない」、また自分を傷つけるような行動をした後に罪悪感にかられる人がどのような人に類似性を感じるかというと、「自分のことを大切に扱わない」「自分にダメ出しばかりをする」ような人に心地よさを感じてしまうのです。

自己肯定感は「他者を肯定すること」から育まれる

自己肯定感を高めるためには、他者を肯定することから始まります。

例えば、「勉強をサボって留年してしまった」という友人がいたとします。その友人に対してどのように感じるでしょうか。

「親に学費を払ってもらっておいて恥ずかしいと思わないのか」「自業自得だ」と感じる人もいると思いますが、「卒業して社会に出ることが怖かった」「授業が難しくてついていけなくなってしまった」「勉強よりも夢中になるものに出会ってしまった」といった事情があるかもしれません。

つまり、「みんな誰しも頑張って生きている」「人は誰でも生まれ持った才能や環境のもと全力で生きている」のです。

そして、この信念を持つことができれば、出会う人全てを肯定することができるようになり、いつしか自分自身に対しても「私も頑張って生きている」と肯定できるようになります。

私が自己肯定感の低さに悩んでいたとき、たしかに他者を厳しく見る自分がいました。

「仕事や勉強で成果が出せないのは本気で取り組んでいないからだ」「あの人は楽をしている。もっと努力すべきだ」と。また、他者より秀でた部分を作れば、自分を好きになれると勘違いしていました。

この本を読んでから自分がしてきたことがいかに自分を苦しめていたかに気づき「みんなそれぞれ頑張っているんだ」と考えるようになりました。

自分にとっての敵(そもそも敵なんていないのですが)も少しずついなくなり、生きやすくなりました。

そして「私が頑張っているように、みんな頑張っている。みんな頑張っているように、私も頑張っている。」と思えるようになったのです。

まとめ

本書では「自分がやりたいこと」を見つけるための実践的なエクササイズや感情をコントロールするためのテクニックが載っており、自己肯定感に関する知識の深堀りだけでなく、能動的に自分を変えていくための情報がちりばめられています。

また、自己肯定感が不足した人の恋愛パターンも載っており、特に自分を幸せにしない恋愛をしてしまう女性にはぜひ読んでいただきたい一冊です。

自己肯定感が低くて苦しんでいるひとも、自己肯定感が低い大切な人を理解したいひとにとっても、一助になることを祈っています。

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