アフォーダンスとその誤用から生まれたシグニファイアの意味について

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デザインの概念として知られるアフォーダンスとシグニファイア。特にアフォーダンスについては、キンコン西野さんがオンラインサロンの投稿やVoicy・YouTubeの配信などでこの言葉を使っていて、気になって調べたという方も多いのではないでしょうか。

何を隠そう私もその1人です。そして調べてみてわかったのですが、どうやら西野さんが言っていた「アフォーダンス」の意味は、正確には「シグニファイア」という概念なのだそう。

というわけで今回は、アフォーダンスとその誤用から生まれたシグニファイアの違いについて解説していきます。

アフォーダンスとシグニファイアの違い

それでは早速、アフォーダンスとシグニファイアの違いを解説していきます。

本来のアフォーダンスとは

まずは、誤用ではない「本来のアフォーダンス」について確認しておきましょう。

アフォーダンスとは、環境が動物に対して与える「意味」のことです。

???

これだけでは何のことだかよくわかりませんね。ちなみにWikipediaを引用してもまだまだよくわかりません。

アフォーダンス(affordance)とは、環境が動物に対して与える「意味」のことである。アメリカの知覚心理学者ジェームズ・J・ギブソンによる造語であり、生態光学、生態心理学の基底的概念である。「与える、提供する」という意味の英語 afford から造られた。

アフォーダンス-Wikipedia

マグカップを目の前にした人の例で考えてみましょう。

人は、マグカップがあることによってはじめて「マグカップを持つこと」ができるようになり、「水を注ぎ」「マグカップから水を飲む」といった動作を受け取れるようになる、というのがアフォーダンスの考え方です。

ここで勘違いしてはいけないのが、あくまでも「マグカップによってその動作が可能になること」「動作の可能性を得ること」そのものをアフォーダンスと呼ぶということ。

「マグカップが持ちやすいデザインかどうか」「水を飲みやすいデザインかどうか」というのは、本来のアフォーダンスには関係がありません

誤用されたアフォーダンス(シグニファイア)とは

本来のアフォーダンスが「環境が人に与える意味」であるのに対し、一般的に広まっているアフォーダンスは、「そのモノの使い方をそのモノ自身が分かりやすく伝達していること」といった意味で用いられています。

さきほどのマグカップと人の例で言えば、「マグカップに持ち手がついていることによって、マグカップは持ち上げるという動作をより強くアフォード(提供)する」といったニュアンスです。

この誤用は、アメリカの認知科学者であるドナルド・アーサー・ノーマンの著書『誰のためのデザイン?』をきっかけに広まりました。

誤用されたアフォーダンスは、

自分の著書において使用されているアフォーダンスという語については、本来のアフォーダンス(Real affordance)ではなく、知覚されたアフォーダンス(Perceived Affordance)と読むべきである

アフォーダンス-Wikipedia

とノーマン自身もコメントしており、さらに後年には、『複雑さと共に暮らす―デザインの挑戦』の中で、シグニファイア(signifier)という言葉に訂正しています。

というわけで、現在広まっているアフォーダンスの意味は誤用なのですが、「アフォーダンスの概念をデザインの世界に適用した」という点で大きな功績であり、デザイナーをはじめ、デザインに関わる人々に認知されることとなったのでした。

ちなみにシグニファイアは、モノが発する信号(signal)という意味から造られた造語です。

シグニファイアの具体例

以上でアフォーダンスとシグニファイアの違いについては終わりですが、せっかくなのでシグニファイアの具体例についてもまとめました。

ドアノブの形状

ドアは、ドアノブの形状によって、そのドアの開き方を伝えます。ノブがあればひねって押すか引くか、取っ手があれば横にスライドさせる可能性もありますね。

また、押して開くドアの場合は、片側に金属の板をあしらうことによって、「その部分を押せば開く」ということを伝えるシグニファイアとして機能します。

トイレの男女マーク

トイレのマーク

トイレのマークは、自分がどちらの入り口に入るべきかを直感的に示してくれます。

ゴミ箱の口の形状

ゴミ箱

捨てるものに合わせてゴミ箱の口の形状を変化させると、どのゴミ箱にどのゴミを入れればよいのかが無意識に伝わります。

蛇口のハンドルの色

ウォーターサーバー

青が冷水、赤がお湯。ウォーターサーバーだけでなく、お風呂場などもこれに沿ってデザインされていますね。

電源ランプの色

電源ランプが赤く灯っているときは電源オフ、緑や青になっているときは電源オンであることを私たちは知っています。

信号機の色

信号機の青は「進め=安全」、赤は「止まれ=危険」を示していることが伝わります。

電源ボタンの形

パソコンを触ったことがある方なら、リンゴみたいな形のこのマークが電源のオンオフボタンであることを知っているでしょう。

まとめ

アフォーダンスとシグニファイアの違いについて解説しましたが、伝わったでしょうか。念のためにおさらいしておきます。

アフォーダンスは「モノがあるから行動できる」という可能性そのものの話であり、シグニファイアは「その可能性を伝えるデザイン」の話です。

  • アフォーダンス:モノによって与えられる可能性
  • シグニファイア:アフォーダンスを伝えるデザイン

どっちがどっち?というよりも、「アフォーダンスを持ったものがそれを発信することをシグニファイアと呼ぶ」といった感じでしょうか。

いろいろ言いすぎると自分でもややこしくなってきますね。

具体例も参考に、ぜひシグニファイアによってユーザーを思う通りに誘導できないか試行錯誤してみてください。

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