アダルトチルドレンとは?定義・タイプ分けを解説【チェックリストも】

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今回は、アダルトチルドレンの定義や意味、ヒーローやピエロといったタイプ分けなどについて丁寧に解説していきます。

さらに記事後半では、アダルトチルドレンが抱える悩みや問題点、そして考えられる治療法や克服法などについても触れていますので、自分や周囲の人がアダルトチルドレンで悩んでいるという方はそちらもぜひ参考にしてください。

アダルトチルドレンとは

アダルトチルドレンとは、幼少期から家庭内でトラウマを抱えたまま成人し、その影響で大人になってからも仕事やプライベートにおける人間関係で生きづらさを感じている人のことを指します。

大人になり切れない大人、といったニュアンスで用いられるピーターパン症候群やモラトリアム心理などとの違いは、自覚の有無です。

アダルトチルドレンは「大人になりたくない」「大人になる自信がない」わけではなく、大人になるための環境が得られなかったと考えた方が適切でしょう。

もともとは「アルコール依存症の親を持つ子ども」という意味で、ACOA(Adult Children of Alcoholics)と呼ばれていました。しかし近年はより多くの人に同じ傾向が見られるとして、アルコール依存症に限らずアダルトチルドレンと呼ばれています。

アダルトチルドレン診断チェックリスト

次に、アダルトチルドレンであるかどうかを判断するチェックリストの紹介します。なおアダルトチルドレンは病気ではないため、あくまでもこれらは目安です。あなた自身や、周囲の人がこの傾向に当てはまるかどうか参考としてみてください。

アダルトチルドレンに見られる13の特徴

まずは、アダルトチルドレンという言葉が広まるきっかけを作った、アメリカのセラピストであるジャネット・ウォイテッツが掲げた13の特徴からです。

このうち、2つ以上に当てはまる人はアダルトチルドレンであると認識した方が、より生きやすくなるだろうとされています。

アダルトチルドレンの13の特徴
  1. つねに何が正常かを推測していて、なかなか「これでいい」との確信が持てない。
  2. 物事を最初から最後までやり遂げることが困難である。
  3. 本当のことを言った方が楽なときでも嘘をつく。
  4. 情け容赦なく自分に批判を下す。
  5. 楽しむことがなかなかできない。
  6. 変なところでまじめすぎる。
  7. 他人と親密な関係を持つことが大変難しい。
  8. 自分にコントロールできないと思われる変化に過剰反応する。
  9. 他人からの肯定や受容、承認を常に求める。
  10. 「自分は他人と違う」といつも考えている。
  11. 常に責任をとりすぎるか、責任をとらなさすぎるかのどちらかである。
  12. あるものに過剰に忠実である。無価値なものとわかっていてもこだわり続ける。
  13. 衝動的である。「他の行動も可能である」と考えることなく、一つの選択肢に自分を閉じこめる。

出典:アダルト・チルドレン―アルコール問題家族で育った子供たち|ジャネット・G. ウォイティッツ

これだけだとちょっと抽象的すぎて、この中で2つ以上当てはまらない人なんているのかと疑わしくなっちゃいますね。

アダルトチルドレン尺度を確かめる13の質問

次に紹介するのは、さきほどのアダルトチルドレンの13の特徴を元に、アダルトチルドレン傾向を数値化して判断するために作られた「アダルトチルドレン尺度」という判断指標です。

内容はほぼ同じですが、こちらの方がイエス/ノーで答えやすい形になっています。

なおこちらは、「はい(2点)どちらでもない(1点)いいえ(0点)」で回答し、合計12点以上の場合にアダルトチルドレンに該当する可能性が高いとしています。

アダルトチルドレン尺度
  1. 私は正しいと思われることに疑いを持つ。
  2. 私は最初から最後まで、ひとつのことをやり抜くことができない。
  3. 私は本音を言えるようなときに嘘をつく。
  4. 私は情け容赦なく自分を批判する。
  5. 私は何でも楽しむことができない。
  6. 私は自分のことを深刻に考えすぎる。
  7. 私は他人と親密な関係を持てない。
  8. 私は自分が変化を支配できないと過剰に反応する。
  9. 私は常に承認と称賛を求めている。
  10. 私は自分と他人は違っていると感じている。
  11. 私は過剰に責任を持ったり過剰に無責任になったりする。
  12. 私は忠誠心に価値がないことに直面しても、過剰に忠誠心を持つ。
  13. 私は衝動的である。行動が選べたり結果も変えられる可能性がある時でも、お決まりの行動をする。その衝動性は、混乱や自己嫌悪や支配の喪失へとつながる。そして混乱を収拾しようと、過剰なエネルギーを使ってしまう。

出典: http://www.kawasaki-m.ac.jp/soc/mw/journal/jp/2005-j15-1/10_tsukahara.pdf

もとの13の特徴に比べると、よりアダルトチルドレンと見なす基準値が高めです。

アダルトチルドレンの家庭環境を確かめる16の質問

上記2つのリストで分かりづらい場合は、次のチェックリストも参考にしてみてください。

こちらは、アダルトチルドレンを生み出す原因とされている機能不全家族や、毒親の教育内容に関する特徴をまとめたものです。

育った環境や教育内容がこの傾向に当てはまる場合、あなた自身の価値観もそれに影響を受けている可能性が高く、結果的にアダルトチルドレンとなっている可能性も高いと考えられます。

機能不全家族や毒親の特徴
  1. 期待通りのことをしたときだけ褒められた
  2. しかしその内容に一貫性がなかった(同じことをしても褒めるときと褒めないときがあった)
  3. 兄弟姉妹、同級生などと頻繁に比べられてきた
  4. 「生まなければよかった」「バカ」など存在そのものを否定されたことがある
  5. 過干渉・過保護になんでも知ろうとする親・家庭だった
  6. なんでもコントロールしようとする親・家庭だった
  7. 子どもにパートナーの悪口や愚痴を言う親だった
  8. 子どもの前で夫婦喧嘩をする家庭だった
  9. 「お金がない」など金銭的不安を植え付けられた
  10. 子どもを所有物のように扱い、過干渉と無関心の差が激しかった
  11. 過剰に期待され努力をしても認められなかった
  12. 過保護で共依存関係を築かれていた
  13. 条件付きの愛情を与えられていた
  14. 父親・母親として本来の役割を放棄していた
  15. 物理的・精神的暴力や虐待があった(暴言なども含む)
  16. 親の機嫌を気にして家庭が緊張状態にあった

ひとつでも当てはまる場合、アダルトチルドレンではなかったとしてもそれにより何らかの影響を受けて認知が歪んでしまっている可能性があります。なお、機能不全家族の詳細についてはこちらの記事も参考にしてください。

アダルトチルドレンの5つのタイプ別傾向

アダルトチルドレンは大きく5つの傾向が見られ、これらを類型化したタイプが次の5つです。1つだけでなく、複数当てはまる場合もあります。

チェックリストではありませんが、こちらもアダルトチルドレンであるかどうかを見分けるひとつの指標となるでしょう。

アダルトチルドレンの5つのタイプ
  • ヒーロー(家族の英雄・あるいは単に英雄)
  • ピエロ(道化師・クラウン)
  • 世話役(支え役・慰め役・ケアテイカー・イネイブラー・プラケータ―)
  • いけにえ(スケープゴート・犠牲者)
  • いない子(ロストワン・いなくなった子ども)

ヒーロー:失敗を恐れて期待に応えようとする「頑張り屋」

ヒーローは、受けた期待に応えるため、名前の通り家族の中で英雄的立場でいようと努力します。

傍目には「しっかりした子」「頑張り屋」と映りますが、その根底にあるのは期待に応えられなかったときの失望や叱責への恐怖です。頑張れているうちはよいのですが、一度失敗すると心が折れてしまい、そのままうつ病などの精神障害を抱えやすいケースとも言えるでしょう。

また、自分自身も努力して結果を出してきたことから、「結果とは努力して頑張って出すものだ」という価値観を周囲に押し付けてしまう傾向もあります。

ピエロ:険悪な空気を恐れておどける、一見社交性を持った「お調子者」

ピエロは、怒りや悲しみといった感情に非常に敏感で、とにかく険悪な空気を恐れます。

シリアスな空気そのものに抵抗があり、自分が道化を演じることでその場の空気を明るく和ませようとすることも少なくありません。

周囲からは社交性のあるお調子者と思われがちですが、根底にあるのは「いつ怒られるか分からない」という家庭で味わってきた理不尽な緊張感です。笑わせることが楽しいのではなく、笑わせなければいけない、という義務感でその立場を演じています。

世話役:自分の問題から目をそらして家族を世話する「献身的な子」

世話役は、家庭内や身の回りで起こった問題に対して、非常に献身的に対応しようとします。しかしその一方でとても自己犠牲的であり、自分自身に降りかかる問題からは目をそらしがちです。

例えば、親に暴力を振るわれているにも関わらず、その親のために食事の用意をするなどがそれに当たります。自分のために助けを求めるのではなく、親のために世話をすることを優先してしまうのです。

生まれてからずっと自分に目を向ける安心・安全な環境が与えられず、周りに気を配らずにはいられなかったことが原因だと考えられます。

いけにえ:無視や不和を恐れて悪者の立場をとる「問題児」

いけにえは、名前の通り家族のダメな部分を一身に引き受けさせられてきました。

あの子さえいなければこの家はもっとよくなるのに、といった幻想を抱くことで、その毒親や機能不全家族はなんとか精神的なバランスを保っています。

家族の感情のごみ箱とも呼ばれる役割を背負い続けたせいか、その方法でしか注目を集められないと考えている人も少なくありません。

家庭内暴力という形で他者を傷つけるだけでなく、自傷行為や自殺行為という形で自分自身を傷つけることもあります。

いない子:注目され傷つくことを恐れる「存在感のない子」

いない子は、とにかく注目されることと家族を刺激することを恐れ、存在感を消して「普通の子」や「空気のような存在」になろうと努力します。

社会的には、ヒーロータイプと同様に優等生とみられることもありますが、その根底にあるのは常態化した自己否定です。

「お前さえいなければ」といった直接的な存在の否定や、承認された経験が極端に少ないことなどが原因のひとつと考えられます。

アダルトチルドレンの抱える悩み・問題点

アダルトチルドレンによって影響を受けた結果、次のような悩み・問題を抱えるようになります。

人間不信・共依存により人間関係が安定しない

アダルトチルドレンは、親を信頼できなかったという経験や、親なしでは生きていけないという共依存関係のもと生きてきたため、安定した人間関係を築くことに困難を感じる人も少なくありません。

例えばピエロの傾向が強い場合、幅広い友好関係を持っているようで実際は本音で語れる友人が一人もいないといった状況に陥ります。またヒーロー的傾向が強い場合も、同年代の人間はすべてライバルであり蹴落とさなければいけない、といった思考から、友好関係が結べなかったりします。

友達を作るのが難しい一方で、恋愛パートナーと共依存関係を結ぶことも多いです。共依存の関係においては献身的に頑張りすぎてしまい、お互いに身体的・精神的に疲弊してしまうことも少なくありません。

低すぎる自己肯定感と過度な自己否定により自身を大切にできない

本来、親から与えられる承認を与えられなかった経験から、自己否定が当たり前になってしまった結果、自分自身を大切にできない傾向が顕著です。

これは自傷行為や自殺行為といった極端な行動ばかりではなく、暴飲・暴食・アルコール依存などといった体を傷めつける行為全般を指します。

自分自身を大切にできなくなった結果、他者も尊重できない傾向を示しやすいです。

我が子や周囲の人にも同じ環境を与えることで連鎖する

アダルトチルドレンは、安定しない人間関係によって社会的に孤立したり、過度な自己否定により他者を尊重できなくなったりした結果、我が子や周囲の人にも同じ環境を与えます。

アダルトチルドレンの原因に、親の存在が密接に関わっていることは間違いありません。そしてアダルトチルドレンとして育った人が、その特性を理解しないまま親になることで、再び子どもをアダルトチルドレンとして育ててしまいます。

この世代間連鎖そのものも根深い問題ですが、それを忌避して結婚や子育てを避けるアダルトチルドレンも少なくありません。

アダルトチルドレンの治療・克服のためにできること

安定した人間関係を構築するために、また自分自身を尊重するために、そして我が子や周囲の人へ悪影響を及ぼさないために、次のような対策が考えられます。

自覚的な症状がある場合は病院へ

すでになんらかの症状が自覚的な場合は、きちんと精神神経科や心療内科へ行き、適切な薬を処方してもらいましょう。

薬に頼ることに抵抗があるかもしれませんが、まずは症状を和らげなければ落ち着いて考える余裕を持つことも難しくなってしまいます。

以下はあくまで一例ですが、あてはまる心当たりがないか参考にしてください。

ACによる精神障害の一例
  • うつ病
  • 不安障害
  • パニック障害
  • 恐怖症
  • 摂食障害
  • 強迫性障害
  • 人格障害
  • 同一性障害
  • 性的機能障害
  • 消化器障害
  • 睡眠障害
  • 嗜癖・依存症

同じ境遇を持つコミュニティへ参加してみる

孤立感を軽減したり、問題と向き合って乗り越えたりするために、自助グループなどのコミュニティも多く運営されています。

自助グループというのは同じ境遇を持った人同士で助け合うためのコミュニティで、匿名で気軽に参加できるものが多いです。

アダルトチルドレンに限らず、「うつ病自助グループ」「不安障害自助グループ」などもありますので、興味のある方はお住まいの近くで開催されている自助グループがないか、探してみてはいかがでしょうか。

お互いの支えとなるパートナー・友人を見つける

コミュニティというゆるやかな繋がりよりも、より強い支えとなるのがパートナーの存在です。

お互いがアダルトチルドレンである場合は共依存となってしまわないよう注意が必要ですが、そうした過去や特徴を把握したうえで付き合える存在は、非常に重要です。

もちろんこれは、恋愛におけるパートナーに限りません。気の合う友人を一人見つけるだけでも精神的に安定するため、劇的に回復の兆しを見せるはずです。

心理の専門家であるカウンセラーとの対話を積み重ねる

パートナーとの結婚や子育てに不安を感じており、早期にこの問題と向き合いたいという方には、やはり専門家である心理カウンセラーとの対話をおすすめします。

アダルトチルドレンの問題の根本には自己肯定感の欠如や自尊心の低さなどがあり、これらを通常の人間関係だけで育んでいくことは非常に困難です。

それに対しカウンセリングでは、トラウマの整理・問題点の改善・自信の獲得へと繋げていくことができるので、自分自身の精神安定はもちろん、周囲への好影響も期待できます。

現在はオンラインでカウンセリングを受けられるサービスもありますし、アダルトチルドレン専門のカウンセラーもたくさんいます。さらに男性専門、女性専門と領域を特化させたカウンセラーも多数いますので、ぜひ自分に合った専門家を探してみてはいかがでしょうか。

参考:オンラインカウンセリングサービス「cotree」

まとめ

今回は、アダルトチルドレンについて、定義からセルフ診断できるチェックリスト、そしてアダルトチルドレンが抱える悩みから解決法まで網羅的に解説しました。

なお、最後のカウンセリングについて、もし自分で探すのが難しいという場合は、年齢・性別・境遇など大まかなデータをお問い合わせフォームなどからいただければ(もちろん匿名で構いません)、探すところからお手伝いすることも可能です。

ぜひお気軽にお問い合わせください。

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